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アフガニスタン、ダリー語について

「パシュトゥーンワーリー」の無料オンライン教材

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Rebekka DによるPixabayからの画像
2020年11月6日最終更新

 

こんばんは。

アフガニスタンのオンライン講座 AfghanX(アフガン・エックス)をご存じですか。

 

ご存じの方も多いと思いますが、2012年にマサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学が大規模オンライン講座(Massive Open Online Courses: MOOCs) を共同設立しました。

これを利用した教育プラットフォームがいくつかあり、そのうちのひとつ edX(エデックス)で、AfghanXも講座を提供しています。

AfghanXでは、アフガニスタン国内6大学の教授陣がさまざまなテーマについて英語で授業を行っています。

  

具体的なテーマはこちらです。

・ルーミーについて

・現代パシュトー文豪5人の紹介

・アフガニスタンの慣習と伝統:パシュトゥーンワーリーとその礎

・ヘラートの現代装飾写本

・アフガニスタンの科学・文学偉人6人の紹介

 

過去の映像と資料がアーカイブされていて、無料で閲覧できます。

講義の音声も字幕も英語です。

(募集期間中であれば、有料で受講して認証をもらうこともできるようです。)

 

AfghanX MOOCs(アフガンエックス・ムークス)

https://www.edx.org/school/afghanx

 

※なおこのサイトを観るには、edXの無料アカウントを開設する必要があります。

 

 

上記の講座の中から、パシュトゥーンワーリーのオンライン講座(アーカイブ)を受講してみました。

ざっと概要を紹介しますね。

 

パシュトゥーンワーリーとは、アフガニスタンのパシュトゥーン人が用いる掟のことです。アフガン国内で地域差もあるようですが、講義ではどんな掟があるのか紹介していました。

 

講座名:The Customs and Traditions of Afghanistan: Pashtunwali and Its Foundations

「アフガニスタンの慣習と伝統:パシュトゥーンワーリーとその礎」

 

講座概要

Melmapalana(おもてなし)

・Melma(客人)に対するおもてなしの仕方

・自分を犠牲にしてでも客人を守る

・Badraga(客人が次の目的地まで無事に通行できるようにエスコートする)

・Pana warkawal(客人に安全と保護を与える)

 たとえ敵であっても、客人は守る。

 

Nang and Ghairat(個人や民族の権利、祖国、宗教、女性、客人などを守ること)

・女性の名誉を守り、敬意を払う

例えば、A家とB家の間で諍いが起きて、A家が解決を望まない場合、B家の女性がA家に行き、A家の妻か母親のショールの端を結ぶと、そのショールを結ばれた女性は諍いを解決しなければならない。

ショールを結ばれた女性はAに諍いをやめるように諭し、Aは女性に敬意を払って(女性を立てて)諍いを解決する。

 

・領土保全

・Cheegha(誰かが危険に直面したとき、それを周囲に知らせる太鼓の音)

 この音を聞いた人は皆、男女を問わず武器を持って太鼓のところに集合し、アタン(アフガンのダンス)を踊るそうです。音が聞こえたはずなのに、駆けつけない人にはペナルティーがあるとか。

・ Ashar (共同責任)

 数百年前から田舎に存在する慣習。例えば、各世帯から1名を出して、農作物の収穫、福祉事業、土木、灌漑などの公共事業、災害後の復興事業などを行う。

・Badal (復讐)

 

Nanawati(許しを請うこと)

・Nanawati

被害者の家に、加害者本人か、または村や一族の年長者、宗教指導者、または年長の女性を派遣し、これまでの悪行または犯罪に対して心からの謝罪と許しを請うこと。

ナナワティが拒まれることは滅多にない。
山羊か羊を捧げナナワティを受け入れてもらえるようにする。
金銭的な賠償を申し出ることもある。

 

・Tega または Kanai (ティーガまたはカナイ、どちらもの意味)

AとBの部族が戦闘して、苦境にあるとき、部族の長老や宗教指導者が一時停戦をするために、「石」を置く。この石をパシュトー語でPeace rock (平和の石、岩)の意味で呼ぶ。

 

・Baramta (保証金、保証物)

2者間の紛争はジルガで解決する。両者の言い分を聞き、ジルガで決定する。
ジルガの決定に同意しない当事者にはバラムタは返金されない。

 

Jirga(集会)

ジルガにはLocal jirga(小ジルガ)とLoya jirga(大ジルガ)がある。
地域や国レベルでの重要事項を協議し、解決するためのもの。

数百年にわたり極めて重要な役割を担ってきた。

 

・Local jirgaは、車座になり、上席を作らないようにしている点がミソ。

4~5人で構成され、比較的小さめの地域の問題を協議する。

・Loya jirgaの歴史(1700年以降に開催したLoya jirgaをひとつずつ紹介)

・Loya jirgaは、伝統的なLoya jirgaと、公式のLoya jirgaの2種類ある。

伝統的なLoya jirgaは部族の長老で構成されており政府の立ち会いのない事項について決める。

公式のLoya jirgaはアフガニスタン大統領か議会が招集する。
ジルガの詳しい紹介など。

 

講義では、写真なども入れながら、パシュトー語の語句の説明が繰り返し説明されています。
各動画の下にDiscussionのコメントが入っているので、アフガニスタンに関係する色々な背景の人が受講されていたんだな~ということなども分かります。

コメントも読んでいるだけで面白いです。
当然ですが、自分と同じ視点の人、違う考え方の人、色々な意見がありました。

 

パシュトゥーンワーリーにご興味のある方は、良かったらご覧ください。

 

「アフガニスタンの慣習と伝統:パシュトゥーンワーリーとその礎」講座へのリンク

(すべて無料で閲覧できます。)

www.edx.org

 

今日も読んでくださってありがとうございます。