2019年12月28日最終更新
今日は、最近読んだ本を紹介します。
『幸せの残像』という本で、英語からの邦訳版を読みました。
原書はイランのペルシア語で書かれた «سهم من» (sahme man, 直訳は、『私の取り分』)という本です。作者はパリヌッシュ・サニイ氏。
幸せの残像 THE BOOK OF FATE (Woman's Best 2)
- 作者:パリヌッシュ・サニイ
- 出版社/メーカー: 書肆侃侃房
- 発売日: 2013/09/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この本の何が凄いかというと、「物語の力」が半端ないです。
作品の世界観に引き込まれました。
これほど続きを読みたくて仕方なくなった物語は、久しぶりでした。
全体で650ページありますが、自然な日本語に訳されているのであっという間に読めました。
一見、恋愛小説と思いきや、家族、友情、政治的なイデオロギーなどの話も描かれています。所々で「私」とは何者なのかという深い問いも出てきます。
簡単なあらすじ
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1950年代のイラン。主人公のマスーメは中等学校(高校)に通う少女。
父親以外の家族はマスーメが学校に通うことを快く思わず、早く結婚するべきだと考えている。一方のマスーメは勉強が好きで、大学への進学を夢見ている。
ある日、マスーメは薬屋で働く青年サイードと恋に落ちる。互いの想いは募るばかり。2か月後、交わした手紙が家族に見つかり、家族の名誉を汚したとして、マスーメは学校を辞めさせられ、知らない男性に嫁がされることに。
子どもを産み、育て、さまざまな苦労や運命に翻弄されながら生きていくマスーメ。
30年以上を経てサイードと再会するが・・・・・・
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この本はイランで2度発禁処分になるも発売され続け、ベストセラーになったそうです。読み終えたらその理由が分かっていただけると思います。
物語を通じて、主人公には「娘」、「妹(姉)」、「妻」、「嫁」、「母」、「祖母」などの役割があり、その中で精一杯生きています。でも最後に、その役割を超えた「自分って何だったのだろう?」という疑問が生まれます。
役割を超えて自分の心の赴くままに生きることはできるのでしょうか。
これはこの主人公に限らず、多くの人が考える問いなのかもしれません。
もしご興味ある方は、お手に取ってみてくださいね。
これが今年最後の記事です。いつも当ブログをお読みくださりありがとうございます。
日記は毎日更新しますが、次回の記事は年明けを予定しております。
皆様、よい年末年始をお過ごしください。